IV電線の許容電流表!単線のサイズ別数値と周囲温度や低減係数を解説
屋内配線で広く使われるIV電線は、安全に電気を流すために許容電流を正しく把握することが不可欠です。
許容電流を超えて使用すると電線が発熱して被覆が劣化し、火災や短絡事故の原因になります。
電線の太さだけでなく配線本数や周囲温度によっても流せる電流値は大きく変化します。
安全な電気設備を施工するために、各種低減係数の考え方と正しい許容電流の求め方を理解していきましょう。
この記事を読んでいただきたい方
IV電線の許容電流を一覧表で確認したい電気工事士の方。
単線やより線のサイズ選定で適切な許容電流を算定したい設計担当者の方。
周囲温度の上昇や電線管への収納による電流低減の計算手順を学びたい方。
この記事を読むとわかること
IV電線の単線サイズおよびより線サイズごとの基本許容電流値。
同一の電線管に複数本の電線を収める際に適用する電流減少係数。
設置場所の周囲温度変化に伴う温度補正係数(低減係数)の算出方法。
現場で事故を防ぐために必要な許容電流計算の実践的なステップ。
IV電線の基本許容電流とサイズ別の特性
IV電線(600Vビニル絶縁電線)は、住宅やビルの屋内配線において最も代表的な電線の一つです。
安全に使用できる上限の電流値を許容電流と呼び、導体の太さによって明確に定められています。
単線とより線の違いとそれぞれの許容電流表
IV電線には1本の太い銅線で構成される単線と、細い銅線を撚り合わせたより線が存在します。
単線は直径(mm)、より線は断面積(sq)でサイズが表記されます。
単線は1.6mmや2.0mmなどのサイズが一般的で、小規模な分岐回路やスイッチ配線によく用いられます。
より線は柔軟性があり、大容量の幹線回路や配管曲がりが多い場所で活用されます。
基準となる周囲温度30度におけるIV電線の基本許容電流をサイズ別に整理しました。
配線設計を行う際の第一歩として、以下の許容電流表を確認してください。
| 電線サイズ(単線・より線) | 導体径・断面積 | 基本許容電流(周囲温度30度) |
| 単線 1.6mm | 直径 1.6mm | 27A |
| 単線 2.0mm | 直径 2.0mm | 35A |
| 単線 2.6mm | 直径 2.6mm | 48A |
| 単線 3.2mm | 直径 3.2mm | 61A |
| より線 1.25sq | 断面積 1.25平方ミリ | 19A |
| より線 2.0sq | 断面積 2.0平方ミリ | 27A |
| より線 3.5sq | 断面積 3.5平方ミリ | 37A |
| より線 5.5sq | 断面積 5.5平方ミリ | 49A |
| より線 8.0sq | 断面積 8.0平方ミリ | 61A |
| より線 14sq | 断面積 14平方ミリ | 88A |
| より線 22sq | 断面積 22平方ミリ | 115A |
| より線 38sq | 断面積 38平方ミリ | 162A |
電線管収納時と周囲温度による低減係数の計算
前述の基本許容電流は、電線が空中に1本だけ単独で配線されている状態を想定した数値です。
実際の現場では電線管の中に複数本の電線を収めたり、天井裏のような高温の場所に配線したりします。
このような状況では電線からの熱が逃げにくくなるため、許容電流を低減させる補正計算が必要になります。
基本許容電流にそれぞれの低減係数を掛け合わせることで、実効的な許容電流を算出します。
同一電線管に収める本数による電流減少係数
電線管の中に複数のIV電線をまとめて収めると、お互いの発熱が干渉して管内部の温度が上昇します。
そのため管内に収める電線の本数が増えるほど、1本あたりに流せる電流の制限は厳しくなります。
内線規程では、同一管内の電線本数に応じた電流減少係数が決められています。
2本から3本の場合は0.70、4本の場合は0.63、5本から6本の場合は0.56を乗じて計算します。
例えば単線2.0mm(許容電流35A)を電線管に3本収める場合、35Aに0.70を掛けた24.5Aが実質的な許容電流となります。
周囲温度の変化に伴う補正係数(低減係数)の選び方
IV電線の絶縁体に使われているポリ塩化ビニルの最高許容温度は60度と規定されています。
基準となる周囲温度は30度ですが、真夏の天井裏やボイラー室付近などは30度を超える環境になります。
周囲温度が高くなると電線が許容できる温度上昇幅が小さくなるため、許容電流を低減しなければなりません。
周囲温度が35度の場合は補正係数0.91、40度の場合は0.82、45度の場合は0.71を掛けます。
もし周囲温度が50度近くまで上昇する環境であれば、補正係数は0.58まで低下するため注意が必要です。
電線管収納と周囲温度上昇が同時に発生する場合は、基本許容電流に両方の係数を乗じて最終的な限界電流を算出します。
安全な配線設計を実現するための実務ステップ
実際の現場で事故を起こさないためには、段階を踏んで安全な電線サイズを選定することが重要です。
手順に従って、負荷電流に対応できる適切なIV電線を選びましょう。
機器の負荷電流から許容電流を逆算する手順
最初に行うべき作業は、回路に接続されるすべての電気機器から最大の負荷電流を計算することです。
次に電線を敷設するルートの環境を確認し、電線管内の本数と周囲温度を想定します。
確認した環境から電流減少係数と温度補正係数を割り出し、基本許容電流に必要な低減率を計算します。
負荷電流をこれらの係数で割ることで、必要とされる最小の基本許容電流値を逆算できます。
導き出された基本許容電流値以上のスペックを持つIV電線サイズを選定すれば、安全な配線が整います。
許容電流不足が引き起こす事故のリスクと対策
計算を怠り、実質的な許容電流を超える負荷をかけ続けると、電線は継続的に異常発熱を起こします。
熱によって被覆ビニルが柔らかくなり、最悪の場合は溶けて裸線同士が接触し短絡火災が発生します。
また長年の熱劣化によって絶縁性能が落ち、漏電による感電事故を引き起こすおそれもあります。
設計段階で将来の負荷増設を見込み、余裕を持った電線サイズを選定しておくことが長期的な安全につながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. IV電線の許容電流とはどのような意味ですか。
A1. IV電線に連続して電気を流した際、絶縁体であるビニルが耐えられる最高温度(60度)を超えない最大の電流値のことです。
Q2. 単線1.6mmと単線2.0mmの基本許容電流はそれぞれ何アンペアですか。
A2. 周囲温度30度の基本条件において、単線1.6mmの許容電流は27A、単線2.0mmの許容電流は35Aです。
Q3. 電線管にIV電線を3本収める場合、許容電流はどのように変わりますか。
A3. 電線管に3本収める場合は電流減少係数0.70を掛けます。例えば単線2.0mm(35A)であれば24.5Aまで低下します。
Q4. 周囲温度が40度になる場所で施工する場合の注意点は何ですか。
A4. 周囲温度40度の場合は温度補正係数0.82を基本許容電流に掛ける必要があります。周囲の熱により電線が熱を持ちやすくなるためです。
Q5. IV電線の最高許容温度は何度まで許容されていますか。
A5. IV電線の絶縁ビニルの最高許容温度は60度です。これ以上の温度になると被覆が変形したり劣化したりする危険があります。
Q6. 単線とより線で同じサイズの許容電流に違いはありますか。
A6. 導体の断面積がほぼ同じであれば基本許容電流も同等です。例えば単線2.0mm(断面積約3.14sq)とより線3.5sqは近い許容電流値を持ちます。
Q7. 電線管内の本数による低減係数と温度補正係数は両方掛ける必要がありますか。
A7. はい、電線管に収め、かつ周囲温度が30度を超える場所では、両方の低減係数を基本許容電流に掛け合わせて算出します。
Q8. 許容電流を超えて使用した場合どのような危険がありますか。
A8. 電線が異常発熱し、絶縁被覆が溶けてショートや漏電を引き起こすほか、最悪の場合は電気火災につながる非常に危険な状態になります。
まとめ
IV電線を安全に使用するためには、太さごとの基本許容電流を正しく理解することが第一歩です。
現場での配線時には同一管内の本数による電流減少係数や、周囲温度による補正係数を必ず考慮しましょう。
使用環境に応じた正確な計算を行い、十分な余裕を持った電線サイズを選定することが事故を防ぐ鍵となります。
本記事の許容電流表と計算手順を活用し、安全で信頼性の高い電気設備の施工を行ってください。