金属管と合成樹脂管の使い分け!VE管やPF管の露出配管基準を解説
電気工事の現場において電線管の材質選定は設備の安全性と耐久性を左右する重要な工程です。
配管材料には大きく分けて金属管と合成樹脂管があり、それぞれ異なる特性を持っています。
設置場所の環境や意図する施工方法に合わせて適切な材料を選ばないと、劣化や破損といったトラブルを引き起こす原因になります。
屋外や露出配管などの現場環境に応じた正しい選定基準を理解し、安全で確実な電気設備を構築しましょう。
この記事を読んでいただきたい方
建物の配管設計において金属管と合成樹脂管のどちらを選ぶべきか悩んでいる方。
VE管やPF管などの合成樹脂管を露出配管で使用する際の選定基準を知りたい現場担当者の方。
設置場所に応じた施工規定や強度と耐久性の違いを整理したい電気工事士の方。
この記事を読むとわかること
金属管と合成樹脂管がもつ物理的・電気的な特性の違い。
VE管やPF管をはじめとする合成樹脂管の種類と露出配管での使い分け。
衝撃や熱に強い金属管を優先して使用すべき現場環境。
配管材料ごとの支持点間距離や接地工事といった施工上の留意事項。
金属管と合成樹脂管の基本的な特徴と違い
電線管は電線を外部の衝撃から保護し、漏電や火災のリスクを低減させる重要な役割を担っています。
金属管と合成樹脂管は材質が根本的に異なり、強度や施工性、耐食性に明確な差が存在します。
強度と耐久性に優れる金属管の特徴
金属管は鋼板などを加工して作られており、機械的強度と耐火性に非常に優れているのが最大の特徴です。
外部からの強い衝撃や加圧がかかる場所でも電線内部を確実に防護することができます。
一方で管自体に重量があり、曲げ加工には配管用のベンダーといった専用工具を必要とします。
金属は電気を通す性質をもつため、万が一の漏電事故を防ぐ目的で接地工事を行う必要があります。
加工性と絶縁性に優れる合成樹脂管の特徴
合成樹脂管は合成樹脂や塩化ビニルを主原料としており、軽量で取り回しがしやすい材料です。
素材自体が高い電気絶縁性をもっているため、金属管のようなアース接続の作業が必要ありません。
切断や接続作業が容易であり、現場での施工時間を短縮して作業効率を高めることができます。
ただし直射日光による紫外線や熱の影響を受けやすく、強い衝撃に対しては割れやすい側面もあります。
| 比較項目 | 金属管(E管・C管・G管) | 硬質ビニル管(VE管) | 可とう管(PF管) |
| 機械的強度 | 非常に高い | 中程度 | やや低い |
| 施工性 | 曲げ加工に専用工具が必要 | 直線施工が容易 | 柔軟で複雑な配線が容易 |
| 耐食性 | 錆が発生する可能性がある | 錆びない | 錆びない |
| 接地工事 | 原則として必要 | 不要 | 不要 |
| 主な用途 | 工場・危険物施設・重荷重露出 | 一般屋内外の露出・埋設配管 | 二重天井内・曲がりが多い露出 |
現場や用途に応じた露出配管での使い分け基準
壁面や天井面に電線管を取り付ける露出配管では、周囲の環境や負荷に応じた材料選定が求められます。
設置場所の温湿度や衝撃のリスクを考慮して配管材料を選ぶことが施工後のトラブル防止につながります。
VE管とPF管の露出配管での選び方と施工ポイント
硬質塩化ビニル管であるVE管は管自体が硬く直線性に優れており、美観が重視される壁面の露出配管に適しています。
施工時の支持点間距離は1.5メートル以下に保ち、管のたわみや垂れ下がりが発生しないよう強固に固定します。
手で自由に曲げることができるPF管は、曲がり角が多い場所や天井裏での通線作業で大きな効果を発揮します。
露出配管でPF管を使用する場合は、太陽光に含まれる紫外線による劣化を防ぐため耐候性のある製品を選びます。
PF管は柔軟性がある反面たわみやすいため、支持点間距離を1.0メートル以下と狭く設定して丁寧に施工します。
金属管を選定すべき設置環境と法的な注意点
人や車両の往来が頻繁で、荷物や機器が衝突する危険性がある場所では強度の高い金属管を選定します。
ガソリンスタンドや化学工場といった危険物取扱所では、法令によって金属管の使用が定められている場合があります。
屋外の露出配管で金属管を使用する際は、雨水や潮風による錆を抑えるために溶融亜鉛メッキ処理された厚鋼電線管などを採用します。
金属管は構造が頑丈であるため、支持点間距離を2.0メートル以下と合成樹脂管よりも広めに取ることができます。
管の端部で電線の被覆を傷つけないよう、端末には絶縁ブッシングなどの保護部材を確実に装着することが施工の原則です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 金属管と合成樹脂管の最も大きな違いは何ですか。
A1. 強度と電気絶縁性です。金属管は耐衝撃性や耐火性に優れ接地工事が必要ですが、合成樹脂管は軽量で絶縁性が高く加工が容易です。
Q2. PF管とCD管はどちらも露出配管に使用できますか。
A2. CD管はコンクリート埋設専用であり自己消火性がないため露出配管には使えません。露出配管には自己消火性を備えたPF管を使用します。
Q3. VE管を屋外の露出配管で使用する際の注意点は何ですか。
A3. 紫外線や外気温の変化による管の伸縮に注意が必要です。耐候性の高い耐衝撃型VE管を選び、伸縮を吸収できるサドルを用いて固定します。
Q4. 金属管の施工でアース接続(接地工事)を省略できる条件はありますか。
A4. 乾燥した場所に設置され、管の長さが4メートル以下である場合など、内線規程で定められた特定の条件を満たす場合は接地工事を省略できます。
Q5. 合成樹脂管と金属管で支持点間の距離に違いはありますか。
A5. 違いがあります。金属管は2.0メートル以下、VE管は1.5メートル以下、PF管は1.0メートル以下と決められており、材料の硬さに合わせて固定します。
Q6. 工場や倉庫の壁面露出配管にはどちらの材料が適していますか。
A6. 搬入機器や台車の接触による破損リスクが高い場所では金属管を選びます。直接の衝撃を受ける心配がない場所であればVE管も選定可能です。
Q7. PF管を屋外露出配管で使うと紫外線で劣化しやすいですか。
A7. 標準的な単層PF管は紫外線で劣化しやすいため、屋外の露出配管では耐候性に優れた二重構造のPF二重管を使用するのが一般的です。
Q8. 配管材料のコスト面ではどのような差がありますか。
A8. 材料費および施工時の労務費を考慮すると、一般的に合成樹脂管の方が安価であり、金属管の方が高価になる傾向があります。
まとめ
金属管と合成樹脂管の使い分けは、設置場所に必要な強度、耐候性、施工コストを総合的に判断して決定します。
衝撃や火気にさらされる環境や法令で定められた危険物施設では、堅牢な金属管を採用するのが鉄則です。
一般的な露出配管や施工のスピードを優先したい場面では、VE管や耐候性のあるPF管を活用するのが効果的です。
それぞれの配管材料の特徴と施工基準を深く理解し、耐久性と安全性に優れた配管設備を整備していきましょう。