電食を防ぐナイロンコーティングワッシャーとは?仕組みと施工の要点

屋外の架台や支持金物では、溶融亜鉛メッキの部材をステンレスボルトで締結する場面がよくあります。
この組み合わせで注意したいのが、異なる金属が接することで腐食が進む電食です。
数年後にボルトまわりのメッキが失われ、さびが広がってから気付くケースも少なくありません。
今回は、異種金属の電食対策に適したSUNCOのナイロンコーティング・ワッシャーについて、電食が起こる仕組みや施工の要点とあわせて解説します。
この記事を読んでいただきたい方
溶融亜鉛メッキの架台をステンレスボルトで締結する機会がある電気工事・設備工事の担当者の方。
屋外の架台や支持金物で、ボルトまわりの腐食に悩んでいる方。
電食の仕組みを理解したうえで、現場に合った対策を選びたい方。
この記事を読むとわかること
ナイロンコーティング・ワッシャーの構造、仕様、サイズ展開。
電食が起こる3つの条件と、亜鉛メッキとステンレスの組み合わせで起こること。
樹脂製の絶縁ワッシャーなど、ほかの電食対策との違い。
座面と軸部の絶縁など、効果を確実にするための施工の要点。
ナイロンコーティング・ワッシャーは割れない絶縁ワッシャー

ナイロンコーティング・ワッシャーは、SUS304製の平ワッシャーにナイロン11をコーティングした製品です。
治具の跡が残らない無接点コーティング工法でピンホールのない完全コーティングを施しているため、電気を通しません。
ワッシャー本体はステンレス製のため、樹脂やセラミック製の絶縁ワッシャーのように本体が割れる心配がありません。
製品仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | サンコーインダストリー株式会社(SUNCO) |
| SUNCO商品コード | K0-00-ZWN0 |
| ワッシャー本体 | SUS304 |
| コーティング | ナイロン11 |
| 最高使用温度 | 100~130℃ |
| 低温特性 | 優(-50℃) |
| 耐候性 | 優 |
サイズ一覧
| 呼び径 | 内径d(mm) | 外径D(mm) | 厚みt(mm) |
|---|---|---|---|
| M6 | 6.5 | 16 | 1 |
| M8 | 8.5 | 18 | 2 |
| M10 | 11 | 22 | 2 |
| M12 | 12.5 | 26 | 2 |
| M16 | 17 | 32 | 2 |
電食(異種金属接触腐食)が起こる3つの条件
電食は、次の3つの条件がそろったときに進みます。
1つ目は電位の異なる金属どうしが接していること、2つ目は雨水や結露などの水分があること、3つ目は2つの金属が電気的につながっていることです。
逆にいえば、どれか1つを断てば電食は進みにくくなります。
ナイロンコーティング・ワッシャーは、このうち電気的なつながりを断つ対策です。
亜鉛は先に腐食する側になる
金属には腐食しやすさの序列があり、亜鉛は鉄やステンレスより腐食しやすい側にあります。
そのため亜鉛メッキとステンレスが接すると、亜鉛が先に溶け出し、ボルトまわりのメッキが局所的に失われていきます。
面積比によって腐食の進み方が変わる
腐食する側の金属の面積が小さく、相手側の面積が大きいほど、腐食は狭い範囲に集中して速く進みます。
ステンレスの部材に亜鉛メッキボルトを使う組み合わせは、ボルトが急速に腐食しやすいため特に避けるべきです。
電食対策の方法と比較
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 金属の種類をそろえる | 溶融亜鉛メッキ架台に溶融亜鉛メッキボルトを使う | 電位差は生じませんが、ボルトの耐食性はステンレスに劣り、メッキが消耗するとさびが出ます。 |
| 樹脂・セラミック製の絶縁ワッシャー | ワッシャー全体を絶縁材でつくる | 絶縁はできますが、締付け力や衝撃でワッシャー本体が割れるおそれがあります。 |
| ナイロンコーティング・ワッシャー | SUS304の本体をナイロン11で完全に覆う | 本体が割れず、ステンレスボルトの耐食性を活かしたまま電食を抑えられます。 |
| 接触部を被覆する | 防食塗装や防食テープで接触部を覆う | 現場での手間がかかり、経年で効果が落ちるため定期的な点検と補修が必要です。 |
NEXCOでのケーブルラック止めボルトへの使用実績
ナイロンコーティング・ワッシャーは、NEXCOなどで使用されている実績があります。
製品資料に掲載されている例は、施仕第09408号に適合したラック止めボルトへの使用です。
ブラケットは溶融亜鉛アルミニウム合金めっきの鉄、フックボルトとナットはSUS304という組み合わせです。
この金具とナット面の間に使い、異種金属の接触による電食を防いでいます。
施工の要点
座面と軸部の両方を絶縁する
ワッシャーが絶縁するのは、ボルトの頭やナットが被締結材に接する座面の部分です。
ボルト頭側とナット側の両方が被締結材に接する場合は、それぞれにワッシャーを入れます。
ボルトの軸が穴の内側に接すると、そこで電気的につながってしまうため、絶縁スリーブの併用も検討してください。
コーティングを傷付けない
コーティングに傷が付いて芯材が露出すると、その部分で絶縁が失われます。
運搬時や締付け時の扱いに注意し、締め過ぎにも気を付けてください。
電気回路の絶縁には使わない
本製品は異種金属の接触による電食を防ぐためのワッシャーで、電気回路などの絶縁を目的とした製品ではありません。
電子機器などの絶縁には適していないため、用途を取り違えないよう注意してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. ナイロンコーティング・ワッシャーはどのような製品ですか?
A1. SUS304製の平ワッシャーにナイロン11を完全コーティングし、異種金属の接触による電食を防ぐワッシャーです。
Q2. 樹脂製の絶縁ワッシャーと何が違いますか?
A2. 本体がステンレス製のため、樹脂やセラミック製の絶縁ワッシャーのように本体が割れることがありません。
Q3. どのサイズがありますか?
A3. 呼び径M6、M8、M10、M12、M16の5サイズがあります。
Q4. 屋外や寒冷地でも使えますか?
A4. 耐候性に優れ、-50℃の低温でも特性を保つため、屋外や寒冷地での使用に適しています。
Q5. ワッシャーだけで電食対策は十分ですか?
A5. ボルトの軸が穴の内側に接する場合はそこで電気的につながるため、絶縁スリーブの併用をご検討ください。
Q6. 電気機器の絶縁に使えますか?
A6. 電気回路などの絶縁を目的とした製品ではないため、電子機器などの絶縁には使用できません。
Q7. 価格や納期は相談できますか?
A7. 山内商事までお問い合わせください。呼び径とご希望の数量をお知らせいただくとスムーズです。
まとめ
溶融亜鉛メッキの架台をステンレスボルトで締結すると、条件次第でボルトまわりのメッキが先に失われる電食が起こります。
SUNCOのナイロンコーティング・ワッシャーは、SUS304の本体をナイロン11で完全に覆い、割れの心配なく金属どうしの電気的なつながりを断てる部材です。
座面と軸部の絶縁まで含めて対策することで、締結部を長く健全に保てます。
サイズの選定やお見積りのご相談は、山内商事までお気軽にお問い合わせください。